群馬県立産業技術センター

Gunma Industrial Technology Center

平成28年度 研究報告

次世代産業創出研究

次世代無線通信センサネットワークを活用したIoT支援に関する研究

Study on IoT support that utilized a next-generation wireless communication sensor network

石黒聡・藤井茂樹・細谷肇

[概要]
 中小企業へのIoT支援をするために、次世代無線通信センサネットワークを活用したシステム構築の基礎的な研究を行った。センサノードの温湿度センサ、測距センサで取得したデータをIoTゲートウェイを介してインターネット上のサービスであるM2Xを利用したグラフによる可視化やTwitterを利用したメッセージの表示ができることを確認した。
[キーワード]
 IoT、次世代無線通信、センサネットワーク

詳細(PDF 1MB)

次世代産業創出研究

多孔質シリカ担持Ni試料の水素吸着能に関する検討

Investigation of hydrogen adsorption capacity regarding nickel metals supported on porous silica

恩田紘樹・熊澤直人・塚本さゆり・徳田敬二・鈴木 崇

[概要]
 多孔質化SiO2にNiを担持した試料(以下、Ni/pSiO2)の低温(-196 ℃)および高温(50 ℃)における水素吸着量を評価した。その結果、低温におけるNi/pSiO2への水素吸着量は、SiO2担持Ni試料(以下、Ni/SiO2)への水素吸着量と比較して大きな違いが見られなかったのに対し、高温では1.2倍に増大した。また、Ni/pSiO2にCuを添加したところ、化学吸着した水素の吸着量はほとんど変化させずに脱離温度が115.2 ℃から99.6 ℃に低下した。以上のことから、水素貯蔵の観点から吸着だけでなく脱着しやすさも重要であり、Cuの添加によって水素吸着量の減少を抑制しながら脱着温度を低下できたことの技術的な意義は大きいと考えられた。
[キーワード]
 水素、物理吸着、化学吸着、ニッケル、銅、シリカ

詳細(PDF 330KB)

次世代産業創出研究

輸出用に適した群馬清酒酵母の育種に関する研究

Breeding of non-urea producing Gunma sake yeasts which are suitable for export

渡部貴志・高橋仁恵・増渕 隆

[概要]
 清酒の海外輸出量は年々増加傾向にあるが、清酒中に含まれるカルバミン酸エチルの規制値を設ける国が増えてくると懸念されている。カルバミン酸エチルは、国際がん研究機関(IARC)によって「ヒトに対する発ガン性がおそらくある」とされるグループ2A に属する化合物である。そこで本研究では、清酒中のカルバミン酸エチル含有量を減らす目的で、その前駆物質である尿素を生産しない群馬県独自の清酒酵母を育種することにした。本年度は、群馬KAZE酵母の尿素非生産化に成功したので報告する。
[キーワード]
 清酒、群馬清酒酵母、尿素非生産性、カルバミン酸エチル

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試験分析高度化研究

ISO/IEC 17025及びJCSSの登録更新に係る不確かさ評価

Evaluation of uncertainty with registration renewal of ISO/IEC 17025 and JCSS

川原潤也・増田直也

[概要]
 JCSS校正では、校正担当者を変更した際に、人的誤差による不確かさを再評価する必要がある。このため、長さ校正に係る人的誤差の再調査を実施し、不確かさの値を算出した。調査の結果、JCSS登録値を修正する必要がないことを確認した。
[キーワード]
 JCSS、不確かさ、最高測定能力、密着誤差、繰り返し誤差

詳細(PDF 478KB)

試験分析高度化研究

3Dプリンタ出力用CADデータの設計寸法の最適化検討

Optimization of design dimensions of CAD data for 3D printer

狩野幹大・須田高史・黒岩広樹・新井宏章

[概要]
 3Dプリンタの高精度化に伴い、製品の試作工程においてモデルを造形して形状や組み付けの確認に活用する事例も増えているが、造形されたモデルの寸法の微小な誤差やばらつきにより、想定外の干渉やクリアランスが発生することがある。本研究では、3Dプリンタの造形物のさらなる高精度化を目的とし、造形条件が造形物の寸法に及ぼす影響について明らかにし、CADデータの設計値の補正から造形物の寸法精度を向上させる方法について検討を行った。
[キーワード]
 3Dプリンタ、3D-CAD

詳細(PDF 774KB)

試験分析高度化研究

深さ方向の残留応力分布の測定

A study on dynamic analysis method of high-speed transmission line by real-time TDR method

荻野直彦・矢澤歩

[概要]
 構造材料の内部には、外見できない形で残留応力が存在しており、機器の損傷では、しばしばこの残留応力が損傷要因になっている。そのため、いくつかの方法で残留応力の測定が試みられている。本研究では、より汎用的な深さ方向の残留応力の測定手法の確立を目的として、鋼材の深さ方向の残留応力の測定を行い、測定精度についても評価を行った。
[キーワード]
 残留応力測定、穿孔法、ロゼットひずみゲージ、穿孔装置

詳細(PDF 676KB)

試験分析高度化研究

引張試験における画像処理を用いたひずみ測定手法の開発

Development of Strain Measurement Method using Image Processing in a Tensile Test

新井宏章・荻野直彦・岩沢知幸・鏑木哲志

[概要]
 本研究では、引張試験における伸びを測定する手法として、安価な高速度カメラと汎用的な画像処理を用いて低価格帯のビデオ伸び計を提案する。PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いて記録計と高速度カメラに同期信号を出力し、記録計は万能試験機の荷重を記録し、高速度カメラは画像を記録する。画像処理プログラムを用いて、記録した画像から伸びを測定する知見を得た。
[キーワード]
 引張試験、ビデオ伸び計、高速度カメラ、画像処理

詳細(PDF 357KB)

試験分析高度化研究

検査システムの開発に関する研究

Research on Development of Inspection System

新井宏章・小宅勝・鏑木哲志

[概要]
 本研究では、画像処理を用いて、不具合を発生させる原因の一つである工具の損傷の評価を行うシステムの構築を行った。また、暗室内で測定することで、実際の加工機内での測定条件に近づけて測定を行った。その結果、暗室内でも同様の測定結果が得られたことから、加工機内でも測定できるであろうという知見を得た。
[キーワード]
 切削工具、画像処理、暗室

詳細(PDF 785KB)

試験分析高度化研究

毛髪混入異物の加熱履歴に関する研究

Study on heat history of hairin foods

梅澤悠介・五十嵐昭

[概要]
 食品中に混入した毛髪の加熱履歴を特定する手法について、走査型電子顕微鏡、赤外分光分析装置、示差走査熱量分析装置を用いて検討した。市販の毛髪を炊飯器で白米と一緒に炊飯した検体、コロッケと一緒に油で揚げた検体、ボイルした検体を準備し、熱を加えていない検体と比較した。その結果、電子顕微鏡による表面観察では、油で揚げた検体で部分的に膨らみが観察された。示差走査熱量分析装置による測定では、熱を加えていない検体では170℃付近に明確な吸熱ピークが観察できたが、炊飯した検体、油で揚げた検体では吸熱ピークの大きさ、有無に違いが確認できた。これらの結果から、毛髪異物の加熱履歴を特定できる可能性が示唆された。
[キーワード]
 毛髪、加熱履歴、示差走査熱量分析

詳細(PDF 515KB)

試験分析高度化研究

金属-ガス-ポリマー接触界面での新しいタイプの成形不具合に関する解析技術の開発

The developmentin analysis method ofmolding defect enhanced onmetal-gas-polymer surface

熊澤直人・恩田紘樹・和田智史・鈴木崇

[概要]
 シリカ担持Fe試料(Fe/SiO2)及びNi試料(Ni/SiO2)とポリブチレンテレフタレート(PBT)を260℃、280℃及び300℃で接触させた結果、PBT単独の場合と比較してPBTからの水素引抜き及び主鎖切断によるC1~C4炭化水素の生成が促進され、また、実成形温度域である260℃から280℃にかけては水素引抜きが優先的に起きた。さらに、PBTの主鎖切断により生成すると考えられるdibut-3-enyl terephthalate量も、280℃でFe/SiO2、Ni/SiO2と接触させたとき1.9倍および1.8倍に増加した。このようにPBT残さ表面物質で主鎖骨格を含む低分子量物質が確認されたことから、FeやNiとの接触界面でPBTの主鎖切断が促進されたことが示唆された。。
[キーワード]
 PBT、金属による分解促進、ニッケル、鉄、触媒

詳細(PDF 612KB)

試験分析高度化研究

定量性を備えた昇温脱離装置を用いた計測技術の開発

Development of measurement technology by quantitative

牛木龍二・恩田紘樹

[概要]
 活性化された金属(活性金属)にプローブガスを吸着させ、その脱離温度から活性金属の表面状態を評価することを目的として昇温脱離(TPD)装置を設計、試作した。また、TPD 装置の性能を評価するために、表面特性が良く知られているシリカ担持ニッケル触媒(Ni/SiO2)のCO-TPD 測定を行った結果、物理吸着および化学吸着したCO に由来すると考えられる脱離ピークが確認された。このことから、本研究で試作したTPD 装置を用いることで、活性金属の表面状態を評価できることが確認できた。
[キーワード]
 CO-TPD、シリカ担持ニッケル触媒、物理吸着、化学吸着

詳細(PDF 551KB)