群馬県立産業技術センター

Gunma Industrial Technology Center

令和2年度 研究報告

試験分析高度化研究

遠隔立会い依頼試験システムの構築

Construction of a remote witness request testing system

水沼一英・高田 徹・遠藤庸弘・川端広一

[概要]
 Web会議システム等を利用して、通信ツールや通信回線を比較しながら、遠隔による立会い試験を試行し、可能性を検証した。
[キーワード]
 遠隔、依頼試験

詳細(PDF 213KB)

試験分析高度化研究

エッジコンピューティングを用いた生産ラインへのAI組み込みに関する研究

Embedding AI in production line using edge computers

高橋慶行・町田晃平

[概要]
 AI外観検査導入における装置の低コスト化と処理安定化のため、エッジコンピュータとオープンソースAIを活用したAI外観検査を提案する。本研究では、エッジコンピュータとしてNVIDIA Jetsonシリーズ、オープンソースAIとしてYOLO v3を用いたAI外観検査装置を試作開発した。Jetson NanoとJetson Xavier NXの推論速度の比較を行い、512×512の画像において、それぞれ1.28秒と0.33秒の結果を得た。今後は、本技術を県内中小企業の生産ラインへ展開する。
[キーワード]
 エッジコンピューティング、深層学習、外観検査

詳細(PDF 3MB)

試験分析高度化研究

FE-EPMAを用いたサブミクロン領域分析技術の高度化

Advancement of submicron area analysis using FE-EPMA

牛木龍二・石田一成・徳田敬二・矢澤 歩・黒﨑紘史

[概要]
 2020年に導入の電界放射型電子線マイクロアナライザー(FE-EPMA)の性能を把握するため、その空間分解能を評価した。通常の元素分析条件においては、FE-EPMAは、熱電子銃の従来機器よりも30~40%優れる空間分解能を有することが分かった。FE-EPMAを用いて、割れが発生したオーステナイト系ステンレス鋼の面分析を実施したところ、従来機器では観察が困難であった鋭敏化(結晶粒界に沿ったクロムの欠乏層とクロム化合物の析出)が確認できた。
[キーワード]
 FE-EPMA、空間分解能、照射電流

詳細(PDF 599KB)

試験分析高度化研究

有機材料中の微量硫黄分定量に関する検討

An attempt to quantify the trace sulfur content in organic material

恩田紘樹・綿貫陽介

[概要]
 本研究では、有機元素分析装置とイオンクロマトグラフ分析装置を用いた有機材料中に含まれる微量硫黄分の定量技術の確立に取り組んだ。有機元素分析装置によって試料中の硫黄分を燃焼、還元してSO2に変換し、1%過酸化水素水にSO42-として捕集した後、イオンクロマトグラフ分析によって捕集液中のSO42-濃度を測定する精密分析系では、試料中に含まれるppmオーダーの硫黄分を相対誤差5%以下で定量できた。また、試料中の硫黄分を燃焼、還元により生成したSO2をガスバックに捕集し、ガス検知管を用いてSO2濃度を測定するラフ分析系では、試料中のおおよその硫黄量を把握し、精密分析系に供する試料量を決定することができた。このように、本研究で開発した微量硫黄分析システムによって、有機材料中の硫黄分をppmオーダーで定量できることが示唆された。
[キーワード]
 有機材料、微量硫黄、有機元素分析、イオンクロマトグラフ

詳細(PDF 229KB)

試験分析高度化研究

プラントベースミートの調査研究

Investigation research on plant-based meat

川上亮英・山田徹郎・関口昭博

[概要]
 プラントベースミート由来のハンバーグと、市販品のハンバーグのテクスチャー及び味覚を比較するため、官能評価、クリープメータ及び味覚センサーを用いて調査した。テクスチャー試験において、硬さやもろさの評価では差が小さかった。一方、味覚センサーの呈味評価では、苦味、渋味、塩味において特徴的な差が見られた
[キーワード]
 プラントベースミート、官能評価、テクスチャー試験、味覚センサー

詳細(PDF 742KB)

その他研究

群馬G2酵母の泡無し株の取り直しと高品質清酒の製造

Breeding of non-foaming Gunma G2 yeasts to produce high-quality sake

渡部貴志・栁澤昌臣・櫻井 武・吉野 功

[概要]
 群馬県独自酵母である群馬G2酵母(G2)は、メロンやバナナ様の吟醸香である酢酸イソアミルを生産する吟醸用酵母である。しかしながら、G2はもろみ発酵中の炭酸ガスの泡に吸着し、高泡を形成する性質をもつ泡有り酵母であり、酒造りの際に泡消しの作業が必要であった。また、従来取得していたG2の泡無し株(G16)はセメダイン様の酢酸エチル生産量が高くなっており、県内酒造会社からG2の泡無し株の取り直しの要望が出ていた。そこで本研究では、平成6年に保存していたG2から優れた醸造特性を維持した泡無し株を取得し、実用化を行ったので報告する。
[キーワード]
 清酒、群馬清酒酵母、酢酸イソアミル、泡無し株

詳細(PDF )

その他研究

やよいひめ酵母を用いた地ビール醸造の実用化

Breeding of novel craft beer brewed by a Yayoihime strawberry yeast

渡部貴志・齋藤季之・倉田善弘・栁澤昌臣・吉野 功

[概要]
 地ビールは、地域の特性を活かしたものが多く、多種多様で根強い人気がある。そこで本研究では、群馬県独自ブランドいちご「やよいひめ」から取得した酵母(やよいひめ酵母)から、ビール醸造に適するもの(PM13)を選抜し、新たな地ビールの開発に取り組んだ。やよいひめ酵母はいずれもマルトースを資化し、キラー活性はなかった。製品化した新地ビール「プリンセスマーチ・ロナ」は、「Japan Great Beer Award 2019」で金賞を受賞した。また、地ビール会社へ拡大培養酵母を安定して供給するため、ジャーファーメンターを用いた培養条件の検討を行ったので報告する。
[キーワード]
 やよいひめ、地ビール、酵母、拡大培養、ジャーファーメンター

詳細(PDF 341KB)