群馬県立産業技術センター

Gunma Industrial Technology Center

メールマガジン 第3号



■■■■ 群馬県立産業技術センターまる得通信めーる版(第3号)

■ ■■   群馬県立産業技術センター
■  ■     Gunma Industrial Technology Center
■■■■      2004.3.25(木)発行

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♪♪♪♪♪ 第3号の目次です ♪♪♪♪♪

○産技セからのお知らせ
 ・情報管理システム『TKboard』を開発しました
 ・機械システム異常診断装置を開発しました 
 ・世界最小の1.5mm角チップ多方向傾斜検知センサを開発しました
 ・平成15年度新規導入機器の紹介

○産技セで行われるイベント情報
 ・科学技術週間関連行事の御案内(04/4/13~16)

○お役立ち情報
 ・ぐんま星雲クラスターメールマガジンの御案内
 ・中小企業・ベンチャー挑戦支援事業について

○質問します&お答えします
  
○技術用語解説

○編集後記

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 「群馬県立産業技術センターまる得通信めーる版」も版を重ねること第3号で
す。これまで読者の皆様からさまざまな建設的な御指摘を頂戴し、心から感謝申
し上げます。今後も皆様方からの御意見、御要望を反映し、双方向型の充実した
メールマガジンを目指します。

 今号ではある読者の方から頂いた、「新たに設置・導入した機器について紹介
して欲しい」、との御要望におこたえして、最新整備機器類の紹介を行います。

 また、産業技術センターで平成13年1月より研究開発を行ってきた任期付研究
員により、新たに開発されたWebグループウエアソフト『TKboard』が完成しまし
たので、概要を紹介します。

 その他、群馬県商工労働部産業政策課から発行されている、『ぐんま星雲クラ
スターメールマガジン』の御案内など、今月号も「技術のお役立ち情報」を厳選
してお届けです!

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○産技セからのお知らせ

▲▲▲ 1.情報管理システム『TKboard』を開発しました ▲▲▲

 『TKboard』(テイーケーボード)は、Web型のグループウエアソフトです。群
馬産業技術センターで開発されフリーソフトとして公開しています。
 産業技術センターで平成13年1月より研究開発を行ってきた任期付研究員によ
り開発されました。
 『TKboard』には、スケジュール管理、施設予約管理、掲示板の機能がありま
す。企業内の複数ユーザの情報共有を容易にするために開発されたソフトウエア
です。

 是非ダウンロードして御活用ください。

 ダウンロードは、こちらから。
 http://www.tec-lab.pref.gunma.jp/info/download/tkboard/index.html

 ダウンロードしたパッケージの中にあるREADME.txt、INSTALL.txtを御覧くだ
さい。
 なお、『TKboard』はLinuxで動作します。
 ダウンロードしたファイルを解凍し、インストールしていただくだけで、すぐ
に利用する環境ができます。

 開発されたソフトウエアは、オープンソースソフトウエアとして公開されてい
るため、ユーザの皆様に自由にカスタマイズして御利用いただくことが可能です。

 皆様の企業内情報システム構築に、必ずお役に立つことと存じます。ぜひ御活
用ください。

 『TKboard』に関するお問い合わせは、当センター・電子情報グループまでお
問い合わせいただくか、git@tec-lab.pref.gunma.jp まで電子メールで御連絡
ください。

▲▲▲ 2.機械システム異常診断装置を開発しました ▲▲▲

 群馬産業技術センターでは、経産省関東経済産業局のプロジェクト、「地域新
生コンソーシアム研究開発事業」に参画し、機械システム異常診断装置に関する
開発研究を行ってきました。

 この研究は産学官が連携し、共同研究をコンソーシアム形式で行うものです。
 群馬産業技術センターでは、前橋工科大学と共同で切削加工中の微小振動など
を時系列で分析することで、工具の初期摩耗状態から安定状態、過度の摩耗状態
を把握し、適切な時期に工具交換や再研磨などを実施できるシステムを開発し、
前橋市の蔵前産業(株)で実証試験を行いました。

 この成果は、2004年3月16~17日に東京都港区で開催された「地域新生産業創
造フェア2004」で詳しく御紹介し、大きな反響がありました。

 地域新生産業創造フェア2004の様子
 http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/ntec/296573

 本技術に関するお問い合わせは、群馬産業技術センター・機械グループまでお
願いします。

▲▲▲ 3.世界最小の1.5mm角チップ傾斜検知センサを開発しました ▲▲▲

 群馬産業技術センターでは、日帝無線(株)、スター・トレーディング(有)
と共同で、世界最小の1.5mm角チップ多方向傾斜検知センサを開発しました。

 「傾斜センサ」とは、どの方向に傾いているか感知する装置で、傾斜している
ことを感知することで、振動も感知することができます。防災のためのストーブ
の転倒を感知するセンサや自転車が走行していること(振動)を感知し自動的に
ライトを点灯させるセンサなどに使用されています。

 従来の傾斜センサは、水銀センサが主に使用されていましたが、水銀の使用が
環境問題への対応から使用が困難となり、静電容量式加速度センサやピエゾ抵抗
式加速度センサ、ボール接点方式センサが代替技術として研究開発されてきまし
た。

 このうちボール接点方式の傾斜センサは、従来はボールが微小になると、小さ
い傾斜や振動への反応が鈍くなり、小型化には限界があると言われてきました。
今回開発されたセンサでは、内部を真空化することで精度を改善。また、材質を
従来のプラスチックからセラミックスなどに変えることで、耐熱性を高め、はん
だ付け工程への対応も図りました。
 
 今回の開発により、これまでは6ミリメートル角が最小だった従来品を一気に
小型化しました。開発された多方向傾斜センサは、複数の電極を取り付けた箱の
内部に金属球を入れた構造で、金属球が位置する点によりスイッチが切り替わり
ます。

 応用例としては、デジタルカメラに搭載した場合、撮影の際の天地が認識でき
たり、携帯電話の入力を傾斜でひらがな・カタカナ・ローマ字・数字などに簡単
に変更することが可能になります。また、携帯ゲーム機のコントロールキーの代
用、携帯機器の加速検知による節電なども考えられます。

▲▲▲ 4.平成15年度新規導入機器の御紹介 ▲▲▲

 平成15年度に産業技術センターに新たに設置された機器類を紹介します。

 なお今回御紹介の3機種は、すべて太田市の東毛産業技術センター(太田市吉
沢町884-1、TEL 0276-40-5090)に設置されています。お問い合わせなどは、お
気軽にそれぞれの担当に御連絡ください。

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1 電子線マイクロアナライザー
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メーカー名:株式会社島津製作所
形式:EPMA1610
仕様:電子源=CeBixカソード、Wフィラメント
   元素分析範囲=ホウ素~ウラン
試験内容:試料表面に電子線を照射し、飛び出してくる特性X線を検出すること
     によって試料を破壊することなく、元素分析を行います。同時に二次
     電子を検出することで走査型電子顕微鏡として試料像観察を行うこと
     もできます。
担当者:五十嵐昭(技術支援グループ)

◎なお本機器は、地域再生産業集積対策事業費補助事業により整備しました。

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2 音響解析システム
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メーカー名:ブリュエル・ケアー社他
型式:3560D型PULSEEシステム他
仕様:通常帯域入力(~20kHz):12ch
   広帯域入力(~100kHz):2ch
   12chリアルタイム同時分析:FFT、1/nオクターブ、
    オーバーオールレベル分析
   各種分析ソフト:音響パワー、音源探査、垂直入射吸音率
   音源探査/音響インテンシティ測定用マイクロホントラバース装置
    最大稼動範囲:3.0m(W)×2.0m(D)×2.0m(H)
   垂直入射吸音率測定用マイクロホンインピーダンス測定装置
    低周波用チューブ:50Hz~1.6kHz φ100m
    高周波用チューブ:500Hz~6.4kHz φ30m
試験内容:
 ・騒音(音圧、音圧レベル)測定
 ・音響パワーレベル測定
 ・音源探査/音響インテンシティ測定
 ・垂直入射吸音率測定

担当者:吉澤弘高(技術支援グループ)

◎なお本機器は、日本自転車振興会から競輪収益の一部である機械工業振興事業
補助事業により整備しました。

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3 電磁的耐性評価システム
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メーカ名:Amplifier Research、EMC-PARTNER、他
型式:100S1G4、TRA2000、他
仕様:放射イミュニティ試験装置(1GHz~4GHz)[100S1G4他]
試験周波数:1GHz(800MHz)~4GHz
発生電界強度:10V/m(試験距離3m)
その他:振幅変調等可
電圧変動・磁界イミュニティ試験装置[TRA2000他]
    ・電源周波数磁界イミュニティ
発生磁界強度:1,3,10,30,100A/m(連続)、1000A/m(短時間)
その他IEC61000-4-8対応
    ・電圧ディップ・短時間停電・電圧変動
出力0V時、開放・短絡選択可
定格16A以下、単相のみ
その他IEC61000-4-11対応
・発生磁界強度評価 NARDA ELT-400(~400kHz帯域)
・電源電圧波形評価 Tektronix TDS2014+差動プローブ

試験内容:携帯電話等の強力な外来電波で電子機器が誤動作しないかどうか、ま
     たコンセントの電源電圧が不安定になった場合に電子機器が異常動作
     をしないかどうか、近くに変圧器や大電流が流れているケーブルなど
     があった場合に電子機器が影響を受けないか、などの試験できます。

担当者:行方真実(技術支援グループ)

◎なお本機器は、日本自転車振興会から競輪収益の一部である機械工業振興事業
補助事業により整備しました。

 また、これらの機器を含め、産業技術センターに設置されている機器の詳しい
紹介が、当センターホームページで御覧いただけます。ぜひ御利用ください。
 http://www.tec-lab.pref.gunma.jp/setsubi/list/

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○産技セで行われるイベント情報

★科学技術週間関連行事の御案内★

 科学技術週間とは、「科学技術に関し、広く一般国民の関心と理解を深め、も
って我が国の科学技術の振興を図るため、科学技術週間を設け、できるかぎりこ
の期間中に各種の科学技術に関する行事を集中的に実施し、目的達成に資する」
ために設定されています。ちなみに平成16年は、4月12日(月)~18日(日)に
なります。

 産業技術センターでは、この趣旨に賛同しさまざまな事業を計画しています。
行事の詳細は今後、センターのホームページなどで随時紹介いたしますが、ここ
では概略を御案内します。

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I 『産業技術センターではこんなことを行っています!』
   ~事例発表会及びセンター技術シーズの紹介~
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期 日:平成16年4月15日(木)、16日(金)の2日間
場 所:群馬産業技術センター 多目的ホール

15日(木) 主に機械、電子、情報、生産システム部門の方を対象とします。
 13:00~14:00 事例発表会(産学官連携、共同研究への取組を紹介)
 14:00~15:00 各グループのシーズ御紹介
  電子情報グループ、機械グループ、生産システムグループの各責任者から、
 依頼試験や技術相談でどのようなことができるのか、などグループのシーズを
 紹介します。

16日(金) 主に電気、機械、化学、食品、バイオ部門の方を対象とします。
 13:00~14:00 事例発表会(産学官連携、共同研究への取組を紹介)
 14:00~15:00 各グループのシーズ御紹介
  環境材料グループ、食品バイオグループ、技術支援グループの各責任者から
 依頼試験や技術相談でどのようなことができるのか、などグループのシーズを
 紹介します。

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II 『お役に立ちます!産業技術センターの研究成果発表会』
   ~ポスターセッション形式による研究成果の発表会~
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日 時:平成16年4月15日(木)、16日(金)の2日間、15:00~17:00
場 所:群馬産業技術センター 第一研修室
  
 平成15年度に産業技術センターで取り組んだ研究成果をポスターセッション形
式で発表します。
(発表課題一覧、予定)
・デジタルイメージベース工学に関する研究
・時系列解析手法による機械システムの異常検出、診断機の開発
・生産管理のための支援ツールの開発
・湯流れ・凝固解析技術を利用したダイカスト品の品質向上実用化技術研究
・IT技術支援プロジェクト
・キャベツのホスフォリパーゼを用いた酵素リアクターの研究
・DNAマイクロアレイシステムの検討
・ISO17025プロジェクト
・バイオ技術による県農産物の付加価値向上
・抗酸化作用を強化した 梅果汁抽出液の製造方法の確立
・米麹中の清酒酵母香気生成増強因子の特定とその利用法の開発
・ナノ集積多層薄膜形成技術による工業材料の高機能化技術研究
・高分子材料のサブナノ表面改質法の開発
・ナノメートルオーダーの表面改質を利用した脆性材料の接合とマイクロリアク
 ターの作製に関する研究
・環境適合製品の評価に関する研究
・高分子ナノ系コンポジットのトライポロジーに関する研究
・軽合金への表面処理技術の開発
・二次加工野菜の元素分析による原産地判別
・生分解性プラスチックの分解菌データベース作成に関する研究

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III 『今年こそ!!ホームページ作成方法をマスターしよう!』
   ~ビギナーを対象にしたホームページ作成セミナーを行います~
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期 日:超初心者向けコース 4月13日(火)~14日(水)2日間(12時間)
    初心者向けコース  4月15日(木)~16日(金)2日間(12時間)
    時間はすべて9:30~16:30です。
場 所:群馬産業技術センター コンピューター実験室
定 員:各コース20名

対象者:
■超初心者向けコース(比較的ゆっくりしたペースでセミナーを進めます)
 原則として40歳以上の方で、Windowsの基本操作ができる方、ホームページを
作成し、公開したい方(40歳未満の方でも可能です)。
■初心者向けコース
 Windowsの基本操作ができる方、ホームページを作成し、公開したい方。

セミナーのねらい:
 最近の情報通信技術の発展、グローバル化などにより、インターネットを使用
した情報発信や電子商取引などが盛んに行われており、中小企業においても生き
残りをかけてインターネットなどに取り組んでいかなければなりません。
 会社案内や製品紹介の情報を掲載するホームページを作成してWebサイトで発
信したり、これまで取引のなかった地域へ販路を広げるためにインターネット通
販用のホームページを作成したり、顧客からの問い合わせを電子メールで受け取
るホームページを作成したり、Webアンケートを実施してユーザからの意見を集
めるホームページを作成するなど、ホームページは多岐にわたり利用・活用され
ています。
 そこで今回は標記セミナーを開催し、Webサイトにホームページを登録、閲覧
するという一連の手順について実習するセミナーを行い、ホームページの作成方
法の基礎を習得していただきます。

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IV 『発明相談会』(社団法人発明協会群馬県支部との共催)
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i)「無料発明相談会」
 4月15日(木)10:00~15:00
 産業財産権に関する無料相談会を行います。【弁理士:岡野正義先生】
ii)「知財なんでも相談会」
 4月12日(月)~16日(金)9:00~16:00
 知的財産権に係わる御相談を承ります。【群馬県知的所有権センター職員】

 
★科学技術週間関連行事に関する詳細は、技術開発相談グループまでお問い合わ
 せいただくか、又は電子メールにて御連絡ください。
 アドレスは、git@tec-lab.pref.gunma.jp です。
 
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○お役立ち情報

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☆星雲メールマガジンの御案内
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 群馬県は平成15年度、「ぐんま星雲クラスター構想」 に取り組んでいます。

~ぐんま星雲クラスター構想とは???~

・地域に埋もれている『地上の星』ともいうべき中小企業の技術力に着目し、技
術の集積の創出を通じて、ナノテク、環境、バイオ、アナログ、マザーメカの5
つの産業集積などの創出を目指す、群馬県独自のクラスター構想です。

・県内企業が有する既存技術を掘り起こし、産学官連携や国や県の経済政策の重
点投入により技術力を強化し、企業のネットワーク化により、産業集積を創出し
ていきます。

 群馬県商工労働部産業政策課では、「ぐんま星雲クラスター構想」 の進捗状
況をお知らせするとともに、皆様に有益な『お役立ち情報』をお届けする「ぐん
ま星雲クラスターメールマガジン」を配信しています。この機会にぜひ御登録く
ださい。

※御登録希望の方は、「お名前(会社名)と配信先メールアドレス」をEメール
にて下記まで直接お知らせください。

★ 問い合わせ先  
  商工労働部産業政策課 電話027-226-3314(直通)
e-mail: taira-m@pref.gunma.jp

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☆中小企業・ベンチャー挑戦支援事業について
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 関東経済産業局では、平成16年度新規創設予算として「中小企業・ベンチャー
挑戦支援事業(補助金)」に関する説明会を開催します。
 御興味のある方は、奮って御参加ください。

・制度概要
1 制度名:中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち実用化研究開発事業
2 対象者:中小企業者及びそれらを構成員とする中小企業団体
3 補助金額:100万円~1500万円
4 補助率:3分の2以内
5 補助事業期間:交付決定日から平成17年3月31日まで
6 計画募集期間:平成16年4月7日~同年5月7日まで
7 計画書提出先:主たる研究実施地を管轄する経済産業局
8 案内:関東経済産業局などのホームページに掲載
     http://www.kanto.meti.go.jp/
9 説明会:関東経済産業局(さいたま新都心合同庁舎1号館 講堂)にて
      平成16年3月30日(火)
      午前の部 10:00~11:00  午後の部 13:30~14:30
       ◎事前登録は不要とのことです。

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○質問します&お答えします

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【質問1】
 溶接施工でWPS、PQRという用語があるのですが、これはどういう意味で
しょうか。
(機械部品メーカー・A氏)

【回答】
 信頼性の高い溶接施工には、(1)適切な溶接施工法が採用されていること、
(2)その施工管理が確実に行われていること、が必要です。そのため、当節
施工要領書(WPS)と施工法確認試験記録(PQR)があります。
 溶接施工者がPQRに裏付けされた適正なWPSに忠実に施工することが、
信頼性の高い溶接施工の基本的事項になります。
(技術開発相談グループ 福田俊二)
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【質問2】
 弾力性があるサンプルの比誘電率を測定する場合、どのような方法が適切でし
ょうか。また、測定前のサンプル厚を測定時のサンプル厚よりも大きく見積もっ
た場合、比誘電率はどう出るでしょうか?
(電気部品メーカー・B氏)

【回答】
 程度によりますが、圧力によって体積が著しく変わるようなサンプルは、圧力
をキチンと定義して測定する必要があります。サンプルを電極で挟み込む場合に
は、圧力を小さくし過ぎると電極とサンプルの間の空気層が誤差の要因となりま
す。
 今回のサンプルでは、適度な圧力を加え、それによるサンプルの厚みの変化を
補正して計算するのが適切と思います。
 電極にコンタクトした際に、サンプル厚が小さくなった場合、比誘電率は低く
読み違えます。
(電子情報グループ 田辺佳彦)
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【質問3】
 落下菌検査など、一般的な微生物検査を行う際に必要な設備はどの程度のもの
でしょうか。作業者の安全を確保するためには陰圧の安全キャビネットが必要、
という資料があり、困惑しています。
(食品製造メーカー・C氏)

【回答】
 特殊な環境ならともかく、一般の環境のものの検査であれば危険なものが出て
くる可能性は低く、むしろ検査時のコンタミネーションを防ぐために陽圧のクリ
ーンベンチの方が適当ではないでしょうか。生育したコロニーから胞子が飛散し
ないよう、シャーレの扱いは気を付けるべきですが、環境は一般に無菌操作がで
きる設備であれば十分です。
(食品バイオグループ 増渕 隆)
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○技術用語解説

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1 「ナノテクノロジー(Nano technology)」
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 ナノメートル(nm)は十億分の一メートルですが、そのナノスケールでは物質の
性状を制御することにより、通常では見られなかった画期的な特性が発現するこ
とがあります。ナノテクノロジーとは、ナノスケールに特有の物質特性などを利
用して、原子・分子を操作・構造制御し、新しい機能、優れた特性を引き出す技
術です。省略して「ナノテク」と呼ばれることも多いようです。
 ナノテクは、新素材、IT(情報技術)、バイオ、環境など幅広い産業発展に
不可欠の基盤技術とも言えます。カーボンナノチューブ(筒状炭素分子)、フラ
ーレン(球状炭素分子、C60など)カーボンナノホーン(円錐状炭素分子)が優
れた材料特性を持った新素材として脚光を浴びていて、量産化技術の確立が急が
れています。
 産業技術センターでも平成15年度より『ナノテク応用技術の可能性調査研究』
に取り組んでいます。具体的には、ナノ集積多層薄膜形成技術による工業材料の
高機能化研究、高分子材料のサブナノ表面改質法の開発、ナノオーダーの表面改
質を利用した脆弱材料の接合とマイクロリアクターの作製に関する研究において
一定の成果をあげつつあります。
 今後、研究成果はホームページなどで随時紹介し、また積極的に企業の皆様に
技術移転してゆく所存です。 

(機械グループ・田島 創)

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2「一塩基多型(SNP , Single Nucleotide Polymorphism)」
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 古典的な遺伝学では、個々の遺伝子の変異(色や形の違い、酵素活性の違いな
ど)を遺伝子の違いとしてとらえていました。しかし分子生物学により、遺伝子
が核酸の塩基配列という形で同定された結果、塩基配列に若干の変化を持った遺
伝的変異を起こしたものが見つかるようになりました。このような遺伝子変異を
含む遺伝子変異を含む遺伝子変異全体を遺伝子多型と呼びます。
 急速なヒトゲノム計画の発展や分子遺伝学の普及に伴って、遺伝子の領域だけ
ではなく、ヒトのゲノム全体に多くの変異が見つかるようになりました。現在で
は、ヒトゲノムの1000塩基対にひとつ程度見つかると考えられています。このう
ち、ひとつの塩基だけが他人と変わっている変異を一塩基多形(SNP)と呼び
ます。
 近年解読されたヒトのゲノムは、約30億の塩基対からなっていて、SNPの数
は相当数にのぼると考えられています。
 食と健康に関連した遺伝子にもSNPが存在することが考えられます。肥満、
糖尿病、循環器系疾患、癌、痴呆、アレルギーなどに関する遺伝子と食の関係が
明らかにされれば、将来の疾患を予防するための食生活指導に役立つと考えられ
ています。
  
(技術開発相談グループ・木村紀久)

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○編集後記

 ものづくり支援の拠点である群馬産業技術センターの開所から半年、東毛産業
技術センターの開所から3か月余りが過ぎようとしていますが、これまで技術相
談や見学等で両センターに来所いただいた企業関係者や県民の皆様は1万人を超
えています。また、この間、群馬及び東毛両センターの職員が500社を超える県
内企業を訪問し、PRや産業界の情報収集に努めました。

 産業技術センターでは、皆様から高い関心が寄せられているこの時期に、セン
ターの機能や役割を理解していただこうと努めてきたところですが、併せて、研
究開発支援を始めとする諸機能の充実も図りました。中でも中小企業等の皆様か
らの委託を受けて実施した受託研究は、平成14年度の15件が今年度は22件に達し
金額も倍増しています。

 また情報発信機能の強化としては、従来のファックス通信に加えて、産業技術
センターのホームページの充実を図るとともに、本年1月から本誌(メルマガ)
を発行し、新たにインターネットを活用した情報提供を行い、利用者の皆様に最
新の情報を迅速にお届けすることができるよう、多様な情報提供媒体の整備を図
りました。

 この方針は、新年度以降も私たちの「基本コンセプト」として引き継ぎます。
『顧客(=企業の皆様)満足の向上』を合い言葉に、全職員一丸となって業務に
取り組みます。
 
 新年度もよろしく御活用のほど、お願い申し上げます(紀)。  

☆☆ 配信案内 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

■このメールは、当センターが発行するFAX版「産業技術センターまる得通
信」にて、『メールマガジン配信希望』のお返事をくださった方、並びに案内チ
ラシを御覧になり、配信希望の連絡をいただいた方にお送りしています。

■よろしかったら、このメールマガジンを皆様のお知り合いやお客様に御紹介く
ださい。

■このメールは、等幅フォントを使ってお読みください。

■送付先アドレス変更及び配信停止は、次のアドレスへ御連絡ください。

 ◎変更・停止 : git@tec-lab.pref.gunma.jp

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 発行:群馬県立産業技術センター http://www.tec-lab.pref.gunma.jp
    技術開発相談グループ(担当:木村紀久)
  〒379-2147 前橋市亀里町884-1
  Tel:027-290-3030 Fax:027-290-3040
 お問い合わせ E-mail:git@tec-lab.pref.gunma.jp

 ●掲載記事の転載・転用を希望する場合は、上記まで御連絡ください。
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