群馬県立産業技術センター

Gunma Industrial Technology Center

令和4年度 繊維工業試験場 懇談会 議事録

■日 時

令和5年3月10日(金)13:30~16:00

■場 所

繊維工業試験場 講堂

1 繊維工業試験場懇談会とは

繊維工業試験場は、県内繊維関係企業の中核的支援機関として、その運営に外部からの意見を反映させるために懇談会を設置しています。

2 説明事項と質疑

今回は、次の議題で意見を伺いました。
1.令和4年度繊維工業試験場の業務実績について
2.令和5年度繊維工業試験場の業務計画について
3.質疑、要望、意見交換について

【議長】
まず説明のあった内容に関して何か疑問点等ありましたら、それについて承りたい。
最初に、IoTを使った機器の管理システム導入は、繊維工業試験場の設備の運営の効率化を目的としているものなのか、それとも地域の企業への業務の効率化のデモンストレーションの意味合いでこれを導入されたのか。

【場長】
両方を目指しています。

【議長】
そうならば、何か数値的な指標を出せるようにしておいた方がいい。品質向上に定量的に、数値で示せるようなものであれば、より説得力も高まり、地域の企業も導入しようかという気持ちになる。費用対効果、経済的なメリットは重要な部分だ。

【委員H】
外部資金研究のところで、「昆虫(カイコ)テクノロジーを活用したグリーンバイオ産業の創出プロジェクト」、農研機構を中心の研究と思うが、内容を開示してもらいたい。

【係長B】
環境に優しい蚕を効率的に育てるための環境を整えること事がタイトルです。群馬県では、効率的な新品種を開発して、産地や国内全域の養蚕業、シルク産業を支えていくという政策を行っています。本研究は、群馬県の蚕糸技術センターで育成した新品種の品質を繊維工業試験場で調べ、新規繊維製品に生かす計画です。

【議長】
「環境に優しい」の内容は?
国外を含めて、どんな付加価値を持って、競争優位性を担保するのか。

【係長B】
例えば夏場でも育てやすい蚕の新品種を開発することなどです。育てやすく、コスト的にも有利になる品種を目指しています。

【委員H】
農水省のグリーンバイオ産業創出プロジェクトは、蚕を使ったイノベーションを起こすような研究だったと認識している。蚕の蛹を食用にする、たんぱく質をプラスチックに転用するなどはどうか。

【係長B】
プロジェクト内では行われていますが、本県は深く係わっていません。

【委員D】
抗ウイルス試験について、試験ではどのようなウイルスを使用しているのか。

【係長C】
インフルエンザウイルスです。

【係長A】
企業から要望は、ノロウイルスですが、ノロウイルスは人工の細胞系で増殖せず、実験系を確立するのが難しいです。代替として、ネコカリシウイルスを使った実験を今後進める計画です。

【委員E】
伝統織物産業の支援に向けた取り組みという中で、織機の部品の再生に取り組んでいるという事だが、具体的な実績は?

【係長B】
部品の試作段階です。試作品で動作試験を行っています。
扱い易く、より高機能な素材で、再生、改良を目指しています。

【委員E】
全国の産地で織機の部品についての問題が度々論議されている。部品供給の確保は朗報なので、試験場の存在意義も増すためにも最後まで進めてもらいたい。

【委員C】
今後、協力企業の輪が広がっていけばもっと進んでいくと思う。
部品の枯渇以上に、人的な枯渇もある。1ヶ月に一度、年一回だけの作業をする職人の高齢化や後継者問題が深刻。技術が無くなると、次世代へ技術を継承出来ない。そこで職人の技術を、例えば産技センターで、継承する事は可能か。繊維工業試験場に、職人の技術を数値化、マニュアル化する事で残せるのではないか。

【地域企業支援課】
地域で似たような話を聞いています。
直ぐには対応出来ないですが、人事担当等と、検討していきたいと思っています。
関連する方のネットワークを作るなど、色々方法が考えられると思います。

【委員I】
IoTで、刺繍機に合わせた物などを紹介してもらいたい。

【委員B】
繊維工業試験場は、幅広い繊維業種に対してニーズを把握しながらサービス、支援、企業訪問を行っているが、それぞれの産業を代表する人に意見を聞いて、試験場運営に活用していくのが、この会の目的だと思う。
産業技術センターとの合併などは、効率化、人事交流など、必要なことだと思うが、懇談会が合併するメリットが全く分からない。現在のメンバーの何名かは落ちる。前橋、太田の方が入って、繊維業界の代表委員は減る。幅広く、きめ細かく繊維業界を支援・発展させるという場長の言葉と相反している。ここに集まって意見を言う目的は、我々が繊維の産業に携わって、それぞれ繊維という所で、同じ分野で近寄った話をするため。情報が得られ、ニーズも細かく聞いてもらえる。統合すると、話題が広範囲に渡り、メリットは薄くなる。懇談会合併の目的を、説明をしてもらいたい。

【場長】
産業技術センターの懇談会と合併する方針は決まっていますが、委員の数や、意見の集め方、いうのは今後1年間で決定する。今の意見を取り入れて、懇談会の目的とする、広く意見を集めていくという事に反しないために、どうするのか考えていく予定です。

【議長】
繊維産業が蔑ろにされていると現状の説明だと思ってしまう。必ずしもそうではないと明瞭化されればと思う。繊維産業は非常に多岐に渡っているので、どういう形がいいか、模索をしてもらいたい。

【委員B】
桐生は、縫製屋、刺繍屋、機屋、染め屋、セット屋、機械を作っている所、商社もある。狭い地域に繊維の業種が集積化している。だから此処に日本で唯一の繊維の公設試験場がある、非常にレアな、日本の繊維産業の縮図と言ってもよい。我々に身近な繊維工業試験場であってほしい。

【センター所長】
三月に開催する産業技術センターとしての懇談会は、合併します。業界委員の比率は、繊維業界は五人と考えている。他は、各業界一人か二人。繊維の方は多岐に渡っていると理解しているので、一番多い比率ということで案を出しています。センターとしてまとめる懇談会としては、大きい軸で評価するため、細かい部分は、分科会みたいな形を繊維の方で開催する方向で検討しています。

【委員E】
桐生では、織物協同組合があり、商工会議所にも、繊維部会とか、色々な部会がある。試験場に期待するのは、繊維の技術や、仕事について相談できること。仕事の基本が相談できて、解決ができる事を試験場に期待している。そこを抽出できる懇談会があればいい。懇談会を統合すると、総括的な方向性しか出ないのではないか。

【委員F】
産技センターが、どういう業務をやっていて、どういう部門があって、何が出来るのか、理解が進んでいない。革新の推進と伝統の融合が本当に進むといいと感じた。

【議長】
令和4年度と令和5年度の予算を比較して、令和5年度予算が減っている。

【場長】
職員数はこのままですが、機器整備等の金額が5年度は少なくなったためです。

【委員G】
以前、産業技術センターと介護関係の開発をするために補助金の申請をした。獲得はできなかったが、繊維試験場、産業技術センターとの実績がある。合併することによって、新商品開発が出来るような形に出来ると良い。

【委員J】
私は、髪を失った女性のために、頭に巻くスカーフの事業を7年前に立ち上げた。繊維産業に関して、知識も経験も人脈も全くない所からスタートし、こんなにもディープな業界なのか、と非常にびっくりした。色々な方に助けていただきながら進んではいるが、商品開発の進め方が分からない時、ネットワークも無いので、情報を得る所が限られていると感じる。繊維工業試験場は、県の施設なので、フラットでオープン。ざっくばらんに相談させてもらいたい。ニーズスタートの事業に関してフラットな場があるのは、非常にありがたい。

【委員A】
一人で作家として活動している者として繊維工業試験場は、ありがたい施設だ。大学の教員としての要望は、学生の就職への対応。当大学の学生達は地元主義が主で、桐生、群馬で働きたいという学生が多い。ファッション分野の担当だが、繊維産業に就職したい、と思っても、行き先が余りない。そこを何とかしたい。デザイナーではなく、技術者として生きるために、試験場との共同研究や、インターンなどの機会があるといい。

【議長】
自身の業界に関して、やってほしいという事があれば、意見を。

【委員B】
染色業界では、色々な引き合いがすごく増えている。良くない情勢で、ちょっと面白い状態にある感じ。加工を中国でなく、東南アジア、国内に戻す事も増えている。踏ん張っている繊維産業を、是非支援し続けてもらいたい。

【委員C】
私は、着物もファッションであると考えている。絶対無くならない。生活様式が変わっていく中で、そこに合わせた新しいものを提案する事が大切だ。試験場と共同で絹の新しい加工方法などを研究することで、現代の生活様式に合う着物を提案出来る。引き続き相談に乗ってもらいたい。

【委員E】
東京で開催したTPSでは試験場や織物協同組合のほかに、桐生を中心とした繊維関係者が一堂に集まってアピールした。試験場の参加も良い成果を上げている。桐生産地の纏まりというのを大事にしてもらいたい。

【委員F】
センターとのコラボによる革新と推進というのが、命題だと感じる。科学的裏付けがある事を、コラボレーションして商品づくりが出来れば、異業種から生まれた伝統と革新ということが実現出来る。

【委員H】
桐生に試験場があるというのは、繊維産業の人間からすると宝だと思っている。我が社は街づくり会社で養蚕をやっているが、一緒に養蚕が出来ないか提案したい。

【委員I】
新しい物が出来ないか、と考えたとき、試験場に相談しようと考えている。相談をしながら色々開発していくと、新しい製品が出来ていく。我々もチャレンジしていきたい。ご協力お願いしたい。

【委員J】
色々な研究をしていて、凄い技術がある。深く知りたい事もあった。自社で研究というのは難しいが、試験場の技術からフィットするものを、取り入れられたらいいと感じた。

【議長】
各委員から大変貴重な意見が出たと思う。本日の委員の意見を今後の繊維工業試験場の運営に当たり参考にしていただけたらと思う。