群馬県立産業技術センター

Gunma Industrial Technology Center

令和5年度 繊維工業試験場 懇談会 議事録

■日 時

令和6年2月9日(金)14:00~16:00

■場 所

繊維工業試験場 講堂

1 繊維工業試験場懇談会とは

繊維工業試験場は、県内繊維関係企業の中核的支援機関として、その運営に外部からの意見を反映させるために懇談会を設置しています。

2 説明事項と質疑

今回は、次の議題で意見を伺いました。
1.令和5年度繊維工業試験場の業務実績について
2.令和6年度繊維工業試験場の業務計画について
3.質疑、要望、意見交換について

【議長】
場長の説明を踏まえて、令和5年度の繊維工業試験場業務実績について、ご質問、あるいはご意見を承りたい。
アンケートに回答した企業の30%は医療資材に関心があるということだが、会社の業態や規模感によってどういうことを求めているのか微妙に違う。会社のことをよく調べて、丁寧にその背景にあるニーズを調べると、より実効性のある企業のサポートになるのではないか。

【場長】
そのように解析します。

【委員A】
遠隔システムはどのようなシステムの機器なのか。

【所長】
今回は整経機に光センサーを取り付け、止まるとパトランプが点灯するようにしました。小さいパソコンがついていて、光センサーが感知した瞬間にスマホに通知が行きます。これはどの装置でも付けられます。例えば装置に流れている電流の停止を感知したら、スマホに通知を送信するなど、スマホさえ持っていれば、どういう状況か見ることができます。スマホを持っていない人やスマホを工場で持てない場合は、例えば工場の中でアラームを鳴らすなどもできます。古い装置に取り付ける場合でも、何らかの手段はあると思っています。

【議長】
ロスが100時間減った、ということだが、お金に換算するといくらくらい改善されたか。

【所長】
例えば人件費で1時間3000円とすると、一台で30万円の削減です。装置は2万円で作っているので、かなりもとが取れます。

【委員B】
次世代の職員が多く入ってきているが、試験場の中で技術継承は行われているか。

【場長】
OJTという形で技術継承を行っています。頻繁に来る相談事や依頼試験は継承がスムーズにいくが、あまり来ない試験等は継承するのに時間が掛かってしまいます。なるべく職員がどんなことでも対応できるように今後も考えていきます。

【委員B】
繊維工業試験場に社員を派遣して、基礎の部分をしっかり指導していただける指導者としての能力を若い職員にもしっかり持っていただけると、将来明るいと思う。

【場長】
現在、桐生繊維大学の講師を行っていますが、さらにこのスキルを上げることを職員の課題として取り組んでいきます。

【委員C】
今持ってる設備をもっとPRしてほしい。取材等の機会があれば大きくPRするチャンスを作っていただき、アピールをしていただければ。

【議長】
例えば企業の方は商品化事例に関心があると思うので、それを全面に押し出したり、または使い方を含めて設備を紹介したり、ネットだけではなく、紙媒体など色々なメディアを使ったほうが、もっといいのではないか。

【場長】
今後の課題として取り組んでいきます。

【委員D】
コロナ禍で非常に仕事量が減ったとき、今まで研究していたことが非常に活きた。共同研究をしてくれた繊維工業試験場には感謝している。今後もシルクに関連したものづくりをさらに積極的に進めていき、地域のために、また皆さんに喜ばれる商品を繊維工業試験場にお世話になりながら進めたいと思う。

【議長】
令和6年度の繊維工業試験場業務計画について、質問があればお願いしたい。

【委員C】
染色で色ブレが抑えられるようなデータ作りを染色屋さんに技術として教えていただければ一番ありがたい。染色の技術がまだプッシュされていないのではないかと思っている。

【議長】
熟練した作業者のデジタル化で技術を伝承するようなことも別の分野で確かやっていた。

【所長】
職人の技を数値で解析して、機械を制御して職人技を再現させることが、機械加工ではでき始めています。職人の技術を数字に置き換えることを研究していきます。

【委員B】
染色のレシピや発色する温度などはほとんどが数値化、文章化できるもの。先ほどの説明を聞き、今まで20、30年掛かっていた技術の習得が、AIにより数年で済むのではと思っている。 そのためには試験場の職員も一番基礎的な部分を知っておいていただきたい。そこから今の最新の技術によって、どう助けてもらうことができるかがすごく重要になってくる。

【所長】
例えばChat GPTでなんでも答えが返ってきますが、基礎が理解できている人がそれを使いこなすのと全く知らない素人が使いこなすのでは本当に違います。基礎技術が重要です。産業技術センターとしても、若い職員を育てていけたらと思います。

【委員A】
工場全体のデジタル化について製造現場のデジタル化のコンサルをしていただけるような方はいるか。

【所長】
産業技術センターの同じ建屋の中に産業支援機構があり、その中に生産管理システムなどに詳しいものがいます。一緒にお伺いして、相談することもできます。

【委員E】
会社でキルティング縫製をしているが、ベッドのマットレスのキルティングなので生地、ウレタン、綿、不織布とボリュームがあり、寸法も色々あるのでゴミがたくさん出る。そのゴミの再生がバラバラでないとできないと言われて、資源ごみにならずに廃棄物で出している。もしかしてお願いすればそれもリサイクルや何かに使えるものが生まれるのかなと思って期待している。

【所長】
同じように廃棄物は細かくしないとダメだというのはどこの業界、食品業界でも出てきているので同じだと思います。産業技術センターの担当の者につなぐことができます。

【委員A】
私どもは編み物だが、大量の糸や編地を廃棄せざるを得ない。生地は、原糸メーカーも長年いろいろやってきたが 現実問題としてはリサイクルにはなっていない。編地も破砕して細かくしようとしても編まれているのでなかなか細かくならない。その辺を現状はどうなっているのか調べていただいて、情報を流していただければありがたい。

【所長】
中期計画の実項目としてこの課題についても入れさせていただこうと思います。

【議長】
広報宣伝手法の活用支援でYoutubeやTiktokの動画制作支援をしてくれるということだが、どこまでやってくれるのか。コンセプトを渡したら全部やってくれるのか。

【所長】
技術的にこういうやり方があるというところは確実にご支援させていただきます。

【委員C】
インドでは最新の設備でゴミ一つない工場で整然と織機が動いているという話を聞いた。織機の回転数が1000回以上だと言うので、織機や部品が痛むからフォローが大変かと思ったら、三年から五年使って全部廃棄だという。これから先、勢いがある国はそういうふうに取り組むのだなと、改めて驚いた。私たちは設備を大事に使って、ない部品を工夫しながら次へ動いているが、そういうところはそういう考えで動いていく。これが市場でどういう効果を生むかはわからないが、そういう話聞き、いい意味で刺激にはなったので報告まで。

【議長】
生産性で勝負できなければ、違うところの付加価値で特色を出していくしかないと思う。素材であるとか意匠であるとか、ここでしか得られない付加価値の高いもの。多分、それはプロモーション、ブランディングというところも含めて。

【所長】
おっしゃるとおり桐生でないとできないというところで勝負したほうがいいと思います。

【議長】
今回をもって、繊維工業試験場の懇談会は最後で、次回からは他の製造業の人たちと一緒になってやると聞いている。

【所長】
はい。3月に前橋の懇談会があるが、先ほどの表にあったように、他の業者は各業種で1、2人だが、繊維関係の方は、繊維の中でもいろいろ分かれているので各業種から入っていただき厚くしてあります。また、必要に応じて分科会を2月に実施することも可能なので、来年度早いうちに繊維工業試験場と進めたいと思います。

【議長】
各委員から貴重な意見が出たと思う。本日の委員の意見を今後の繊維工業試験場の運営に当たり、参考にしていただけばと思う。